天野塗装
社説

■ 塗装文化系 ■

 

塗装文化

 アメリカでは引越しをすると先ず自分で内装のペンキ塗りを行うのが習慣のようである。ホームセンターに行けばプロショップ顔負けの品揃えで一般消費者の自分で塗ると言う事に対しての意識が窺い知れるのだが、それだけペンキ塗りと言う物が日常茶飯事に行われており、日曜日は家族で屋根のペンキ塗りをすると言うように娯楽になっているようにも感じる。それだけ時間を豊かに使っているのだ。では日本の現状はと言えば一般消費者はペンキ塗りに対しての知識を得る場所も習慣も無く法外な値段で営業するボッタクリ業者や下地処理も何もあった物ではない業者や機能性塗料・新製品だからこれは良いと売れ筋商品を羅列するメーカー等の営業合戦、これでは塗装文化が発達するはずはありません。

 塗装の本来の良さを得られるのはもしかしたら、ご自分で塗られることかも知れません。時間無制限で失敗してもやりなおせば良く、気の済むまで塗ることが出来るのです。そのためには、正しい知識と情報が必要となり、塗装に対しての認識も上がってくるのです。そうなれば例え業者に依頼するにしても間違いの無い業者選択が出来、見積書の見方も分かってくるものです。現在の日本には建築・塗装文化と言う物は存在せず、業者は建てっぱなし、塗りっぱなしと言うのが現状です。

 ぶっちゃけた話しカタログを見ての説明は素人でも簡単に出来ますし、消費者の方もインターネットで調べればそのくらいの知識は簡単に得ることは出来ます。知りたいのは本当にその塗装方法が自分の家にあっているのか、どのくらいの耐久性があるのかということです。そう言う事はご自分で犬小屋や塀からでも塗ってみると肌で感じられるものです。塗料メーカーさんも機能性塗料ばかり追うのでは無く日本における塗装文化についてを考えてみませんか。


塗装論

 形あるものは必ず壊れると言う格言があるように物体は必ず劣化する。

この物体が劣化する最も大きな要因は『酸素・水・太陽光』の3要素が重なった時である。そのことは土に埋めた木の杭が土の中よりも土から出ている境目の部分が一番いたむことからも良く解るのだが、この『酸素・水・太陽光』がなければ人間は存在することは出来ない最も大切なものである。したがって元来『劣化しないようにする』と言う行為は自然に反する行為であり、汚れに関しても同様に全てのものは引力により雨や空気中の塵等が、上から下へ落ちるために起きる現象から起因する。では、環境問題が取りだたされる昨今、この先、人類が存在する上でこの自然現象である『劣化と汚染』を喰い止めるためにはどうしたら良いのかと言えばそのキーワードは人類と自然現象との共存である。

 最近注目を浴びている※光触媒酸化チタン塗料は、この『酸素・水・太陽光』を上手く利用したものであるが、反社会的行為である『汚れないようにする』と言う行為を社会的行為にしているため方向性を間違えさえしなければ今後、益々伸びていくものであると思われる。しかし、物体は必ず劣化すると言う観点からすればいずれメンテナンスをしなければならない時が来る。その時のメンテナンス性やリコート性等も考慮する必要もあり、また木などは特に『酸素・水・太陽光』で育ってきたものであるのに建材として使われると塗装等により、『酸素・水・太陽光』から守ると言うことになり、かなり矛盾してはいるのだが、劣化も楽しめるような利用の仕方やメンテナンスの必要性・メンテナンスの難易度なども施主と相談する必要がある。

 永く持ち、汚れにくいが、いずれ来るメンテナンス時にリコートが出来なくて、廃棄処分となり、環境にも悪影響を及ぼすものであればそれは本末転倒である。

 

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